わなわな震えながらも唇を噛み締め、こちらを睨みつけるように睥睨する。どうやら、ローズ嬢に引く気はないらしい。
(めんどくさいなぁ……だから、アスター王子…御自分のモテっぷりを自覚してくださいよ)
たぶん、アスター王子本人は貴族令嬢が自分を狙うのは単なる地位や名声に惹かれたにすぎないと考えているだろうけど…彼自身を好きになった令嬢だっているはず。ローズ嬢はどちらかわからないけれども…レスター王子を震え上がらせた冷笑を見ても引かないならば、もしかしたらローズ嬢は本気でアスター王子に惹かれたのかもしれない。
そう考えた瞬間、チクリと胸が痛んだ。
それだけでなく、なんとなく胃の辺りがむかむかする。不愉快だ……と、そんな思いが体調でなく心のなかで湧き上がる。
(なんだろう……これ。以前よりひどくなってる…やっぱり一度診てもらわないと)
体調管理は万全にしているはずなのだけれども。もしもなにかの病気ならば、しっかり治さないと。騎士にとって健康であることは必要最低限の条件だ。
「ミリィ、どうした?」
アスター王子に声をかけられて、ハッと我に返った。
「少し顔色が……休ませてもらうか?つらいようなら帰るが」
アスター王子は本気で心配したようで先ほどまでの冷たく突き放した雰囲気は一変し、おろおろ狼狽えるいつもの情けない優しい彼に戻っている。
なぜか、それがほんの少しだけいつもより嬉しく感じた。
「体調は万全です。騎士たる者、一度決めたことは完遂せねぱ。せっかく招待されたパーティなのですから、きちんと出席しましょう」



