「どうですか?わたくし渾身の自信作です」
「は、はぁ…」
翌朝、タウンハウスに朝一番にレディアンジェラがやってきた……のはいいけれども。
仕立て直したドレスだけで飽き足らず、今夜ある侯爵邸のパーティのコーディネートまでする…なんて意味不明なことを申し出てきた。
「あらあ〜いいじゃない!わたくしのセンスは壊滅的だから助かるわあ」
タウンハウスの主であるソニア妃が諸手を挙げて賛成するものだから、ゲストにすぎないわたしでは反対しきれるわけもなく。午後はアフタヌーンティーで軽食を取ってから、いきなり支度が始まった。
それはもう……わたしにとっては地獄というか試練そのもの。侍女総出で体の隅々まで磨き上げられ、マッサージのあと香油を塗ったりパックをしたり……それだけでなく、髪の毛まで色々された。
ドレスだってコルセットは無いものの、パニエだのなんだのいろんな下着を身につけさせられて……これじゃいざという時には動けない!と思わず言ってしまいましたわ…。
すると、侍女長のマイルさんからはいつもより怖い笑顔で「淑女は動くものではありませんわ。殿方に護っていただくものです」と言われましたがね。
(護られるだけなんて、絶対嫌だ)
レディアンジェラにコソコソ相談したら、面白がってストッキングの内側に武器を隠す改造を咄嗟にしてくれたからありがたい。
なんやかんや数時間後、心身ともに消耗しきったゾンビなわたしが出来上がってた。