「まぁ、素敵ねえ。やっぱりミリィちゃんにはシルバーが似合うわぁ」
「は、はぁ…」
結局、コルセットは無しでドレスの試着をした。
レディアンジェラの腕の良さで、寸法はほとんどぴったり。手直しする部分はほとんど無かった。
「うーん…やはり着ていただいた方が具体的なイメージが湧きますわね。やはり胸もとにもう少し華やかさをプラスしましょうか」
レディアンジェラがまた閃いたようで、なにやら紙に書き始める。
「そうねえ。そろそろ来月の婚約式のドレスも作らなきゃいけないものね…マリアンヌさんからも頼まれていたし。もう一着は明るめの色がいいわね。ミリィちゃんは何色が好きかしら?」
多忙な毎日ですっかり忘れかけていたけれども、ソニア妃の言うとおり来月には婚約式があったんだった。
「え、いいですよ。このドレスをまた着ます」
「ミリィちゃん、だめよぉ。国際的に重要なお披露目の場なんだから、使い回しのドレスは失礼にあたるわ。あなただけじゃなく、アスターや…ひいては国王陛下の恥にもなる事よ」
ソニア妃に指摘されて、初めてそうなんだと知った。
たぶん、普通の貴族令嬢ならば当たり前にある知識だろうけれど…やっぱりわたしにはそういった知識が足りない。
「そ、そうなんですか……すみません、わたしはどうもその辺りが無知なので……わかりました。レディアンジェラ、もう一着ドレス作りをお願いできますか?」
「任せて!腕によりをかけて素晴らしい作品にしてみせますわ」
レディアンジェラがキラキラした目で快諾してくれて、ほっとした。



