「未来の王妃様とソニア妃から推薦いただけるならば、心強いことですわ」
レディアンジェラはにっこり笑って、わたしとソニア妃の言質をちゃっかり取った。
「さて、その話はまた後で詰めるとして…今は明日のドレスを最優先にしましょうか。とりあえずこのドレスを試着をしてみてください」
「あ、はい」
「ミリィちゃん、わたくしも手伝うわ」
レディアンジェラの指示で試着室に向かうと、なぜかソニア妃も着いてくる。
「あの、ソニア妃…一人で着られますけど?」
「だめよぉ。ドレスを着るのは意外と難しいのよ。お手伝いしなきゃ(それに、アスターより先にミリィちゃんのドレス姿が見たいもの)」
「はあ…そういうものですか?あと、本音が漏れてましたけど」
「気にしないで。さぁ、着替えましょうか」
着替えるための小部屋に着くと、今着ている簡素なワンピースを脱いでドレスに着替える…前に。ソニア妃が恐ろしいものを手にしていた。
「一応、コルセットとパニエを身につけてから試しましょうか?」
「……すみません、コルセットは勘弁してください」
わたしがドレスを着たくない最大の理由、それがコルセット。胸の下から下腹部付近まで、もれなくぎゅうぎゅうに締め付けられるあの苦しさ。二度と味わいたくないと思えるほどなのに…どの貴族令嬢も、幼い頃から身につけているという。それだけでもわたしからすれば尊敬に値する。
あんなふうに身体をがっちり包めば、襲われた時に腹部の防御は心強いけれども…動き回る時には息苦しくて激しい動きが妨げられそうだ。



