【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


アスター王子には内緒にしているけれども、ソニア妃のツテでゼイレーム王国の現状を知るための勉強を始めている。
経済的な事は無知だから主にわかりやすい資料だけど、わからない事は専門書で調べながら読み込んだ。

確かにゼイレームは大国ではないけれど、小国とも言えない中規模の国だ。経済的にも国力も。
過去の愚王が何度も領土を割譲しなければ、北の大国であるフィアーナとも対等に渡り合えただろう。
でも、現実はフィアーナを押し留めるのに精一杯だ。

これ以上国力を落としてしまえば、これ幸いとフィアーナ側か襲いかかるだろう。

現在の国王陛下の威信で、危うい均衡をなんとか保っているにすぎない。

王妃様がプスムラム出身という点も大きい。かの国は小国ながら、経済的には世界で1、2を争うほど豊かな国で国際的に重要な役割を果たしている。武力も随一と評されるほど抜きん出ているんだ。
王妃様になにかあれば、プスムラムを敵に回す覚悟がいる。魔術や魔法でない不可思議な技術を持つかの国は、少数精鋭で一人で百相当の部隊の力があるという。そんな恐ろしい国と対峙する勇気ある国はまずないだろう。

とはいえ、そんなゼイレームでもやはり動くにはお金がいる。主な産業である農作や林業漁業以外目立つ産業がないこの国では、正直税収は少ない。

(やっぱり……まずは王宮の無駄遣いから減らさないとね。必要な贅沢といらない贅沢をきっちりわけないと)

男性よりも女性の方がお洒落にお金がかかる。王妃様も何千着というドレスや何百の宝飾品や千の靴をお持ちなんだ。それだけでどれほどのお金がかかったんだろう。