「このドレスはいかがかしら?新しい織りと染めを活かしたデザインの自信作よ」
レディアンジェラが提案してきたドレスは銀糸を編み込んだ繊細な生地。基本は光沢のある生地で、その上に半透明のふんわりした生地が重なっているけれど角度によってキラキラと星が散りばめられたように輝く。
シルエットは基本的なワンピースのようにシンプルだし、胸もとはそう開いてないノースリーブ。派手派手しさはない分、これでいいかなと思うけど。
「はい。わたしはこれで……ですが、お値段はいかほどでしょうか?」
「あらあ〜だめよぉ、ミリィちゃん。令嬢はお金の心配なんてしないの」
一緒にドレスを見ていたソニア妃がメッ!と人差し指で額をツンツンしてきますが……。
「ですが、わたしは必要以上の不要な贅沢はしたくないのです。自分が着飾るお金があるならば、他の有用な使い方をしていただきたいので」
ひとまずだけど、わたしは将来の王太子妃と王妃として始めたいのは、贅沢が必要か不要かを見極めること。権威付けや格式のためにある程度の豪奢さは必要だけど、それは必要最低限にしたい…と思う。まぁ、他の令嬢ならばお洒落も楽しみのひとつだろうし、それは否定しないけれども…毎日オートクチュールの違うドレスを着るのか当たり前な贅沢は自分にはいらないな、と思う。



