「あらあ、ミリュエールちゃん!お久しぶりねえ」
「ご無沙汰してます、レディ・アンジェラ」
相変わらず黒ずくめのファッションに身を包む、年齢不詳の美魔女…それが王侯貴族御用達のファッションリーダーであるレディアンジェラだ。
髪の毛も瞳も黒色で、肌は真っ白。他の色を許さないような、見事な白黒っぷりだけど、唯一のメイクが色鮮やかな赤い口紅。
彼女が店主を務めるお店は一見小さなタウンハウスにも見える規模のお屋敷。そこは採寸やデザインから型紙作り実際に縫い上げるための作業部屋などに加えて、布を織り上げたりその原料となる糸を作り染めたりと、服に関するあらゆる工程が一度に行なえる工房でもあった。
「ソニア妃殿下から話は聴いているわ。とりあえず明日の侯爵邸のパーティ用のドレスね。型紙を起こしてたらとても間に合わないから、明日の分は既製品をアレンジするしかないわね」
「は、はあ…あの…なるべくリーズナブルにお願いします」
一応、レディアンジェラには希望を伝えておくけれども……全然聞く耳を持たない。
一年前と同じく、数人がかりの女性で別の部屋に強制連行され、あっという間に脱がされて全身の細かな採寸が始まる。
「あらあ、一年前よりずいぶん成長したみたいね。腰回りと…特に胸が」
「……そうですね」
こうしてしっかりと自分のサイズを正確に把握する機会はなかなか無いから、聴いたサイズをしっかり頭に叩き込んだ。



