「ミリィちゃん、お出かけしない?」
「は?」

タウンハウスで2日目の朝。久しぶりに6時に起きた後、専用施設で軽くトレーニングしていると、いつの間にかやってきたソニア妃がまたとんでもない事を言い出しましたが。

「……あの、どこにですか?」
「レディ・アンジェラのお店よ!明日は侯爵邸のパーティに出るから、ドレスを見繕わなきゃ〜」
「は??」

寝耳に水とは、まさにこのことだろう。
いつも言動がぶっ飛んだお方ではあるけれども、まさかここまでとは思わなかった。

「あの、今の今までまったく聴いてないんですけど?」

通常、王侯貴族の正式なパーティや晩餐会等は緻密なスケジュール管理がなされる。多忙な上位貴族ほど時間を掛けるし、招待客もそれなりの準備が必要。だから、侯爵クラスならば少なくとも1ヶ月前には招待状が届かねばならないはず。

「だって言ってないもの。1ヶ月前に招待状来てお返事してたの忘れてたの〜さすがに侍女長や侍従長たちには怒られちゃったわ〜」

あっけらかんとおっしゃいましたが…それ、ハッキリ言ってめちゃくちゃ相手に失礼極まりないですからね?出席って返事したのに、すっかり忘れて出なかったとか…。相手の面目丸潰れでしょう。

「ですが、出席はあなただけですよね?なら、わたしがドレスを買う必要は……」
「ううん、わたくしじゃないわ。ミリィちゃんとアスターの2人よ」
「は!???」

また、とんでもない事をやらかしてくれてますよ……このお方は。