講義を受けた後は、そのまま後宮に足を向ける。
王妃様を始めとしたお妃様方がお住まいの女性の華。
後宮の中で離れに近い部屋。白い石で出来た神殿のような造り。中庭は池や小川がある自然豊かな庭園。
警護してる兵と侍女に頭を下げられ、カーテンを捲った先にソニア妃はいらっしゃった。
天窓から穏やかな陽の光が射し込み、常に水音がするのは引き込んだ水が室内で流れているから。様々な植物があちこちに植わり、なんだか空気が澄んで気分が落ち着く。
ちょうど真ん中に天蓋付きのベッドがあり、ソニア妃が横たわってる。サラサラのプラチナブロンドに、白い肌。淡い湖の水の瞳。さすがの美貌で、アスター王子の御母上様とは信じられないくらいお若い。
「あらあ、ミリィちゃん!今日も来てくれたのね〜嬉しいわぁ」
わたしを見た途端、パッと顔を輝かせてくださる。おっとりした話し方はさすが国王陛下の第2妃様。育ちはいいけど……。
「はい。御身体の調子はいかがですか?」
「順調も順調よぉ〜アスター以来21年ぶりの妊娠だけど、不思議とつわりもないの。だけど、みんなじっとしてろってベッドに押し込めようとするから、身体がうずうずして仕方ないわあ」
「仕方ないですよ。十年ぶりに王室に御子様が誕生するのですから」
元々ソニア妃は数少ない女性騎士だったから、騎士を目指す従騎士のわたしには気持ちはよくわかる。
でも、やっぱり王子が誕生するなら万全を期さないと。なにが起こるかわからないから。



