【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「婚約者……」

オウム返しのように呟いたアスター王子にズイッと身体を近づけると、さらに追加で言っておく。

「はい、わたしはあなたの婚約者です。これから長い人生をあなたとともに歩む覚悟ができたから、この婚約を自分の意志で受け入れたのですよ?ですから、こんなふうにうやむやなまま、流されるようになにかを進められるのは不本意です。
もしもなにかしたいことや希望があれば、直接わたしにおっしゃってください。もちろん、わたしも自分自身の意志で決めさせていただきますが」

逃さないために顔も近づけてじっと見上げていると、アスター王子は突然顔を片手で覆ってしまいましたよ。

指の隙間から見える顔は、なぜか赤く染まっている。

「……いきなりそれとか、反則だろう。心臓に悪い」

なにやら、ぶつぶつ独り言を呟いてますが……。心臓が!?それが事実ならばとんでもない事だ。

「アスター王子、心臓が悪いんですか!?なら、こんな場所にいないですぐ部屋に帰って横になってください!お医者様が必要なら呼びますから」
「ち、違う!オレは健康だ!!」
「でも、心臓が悪いとかおっしゃってたじゃないですか?」
「そ、それはもののたとえだ!」
「たとえ?一体なんのですか?」