とはいえ、このタウンハウスに連れ込まれた経緯が経緯だ。
「アスター王子、今日目覚めたら突然ここにいましたけど、どういうことでしょうかね?」
にっこり笑ってそう問いただすと、アスター王子はゴホンと咳ばらいをして視線をさまよわせる。わかりやすすぎでしょう。
「あ〜、それは……まぁ、うん。おまえが疲れすぎていたから…だな」
「はい、それはわかっています。ですが、昨夜珍しく長時間の訓練に付き合ってくださったのはこのためですよね?ぼくを疲れさせて寝落ちさせて、タウンハウスに連れ込んだんですよね?」
「……そ、それは偶然」
「本当に偶然ですか?」
「……すみません、嘘です」
わたしがさらに笑顔を深めて問い詰めると、アスター王子はあっさりと認めて白状しましたよ。
「で、ぼくが寝てる間に無抵抗を良いことになにかしましたか?」
「な、なにもしてない!……(し、したいけどさすがに意識がない時は)」
「後半、声が小さくて聞こえないんですけど?」
「な、なんでもない!オレは天地に誓ってなにもして無いぞ!」
「なぜ、逆ギレ気味なんですか?やましいことが無いなら正々堂々としていればいいじゃないですか」
「そ、そうだが……」
言動が思いっきり怪しいけれども、アスター王子はわたしのことを考えて連れて来てくださったんだ。いつまでも怒っていても仕方ない。
「……とにかく、きちんと話してくださればぼくも自分の意志で着いてきましたよ。今度からはちゃんと言葉でおっしゃってくださいね。仮にも婚約者なんですから」



