「……あれ?」
次にタウンハウスのベッドで目が覚めたのは、ずいぶん日が高くなったころ……どころか、体感的にたぶんお昼を過ぎてる。
(……二度寝しちゃったんだ……)
マイルさんに温泉に誘われ、そこでピッツァさんと話した後、侍女に囲まれ全身マッサージを受けたのだけど…皆さんすごい技術をお持ちで、身体の隅々まで満遍なくほぐしてくださったからか…気分が良くなってそのまま寝落ちしちゃったんだ。
自分ではそう疲れていないつもりだったけれども、やっぱりアスター王子が言うとおりに疲労が溜まっていたのかもしれないな。
(アスター王子には感謝しなきゃね)
目覚めがこんなにすっきりしているなんて、いつ以来だろう。全身が軽くて今なら空も……飛べないけどね。
(みんなの言うとおり、今日は維持のための鍛錬だけにしておこう)
いくら休暇や休息でも、丸一日だらけるわけにはいかない。1日休めばその分身体は鈍る。だから、維持のための最低限のトレーニングは必要だ。
とりあえず模造剣を持って部屋を出ると、アスター王子とばったり会った。今日はさすがプライベートだけあり、普段の近衛騎士の制服ではなく、簡易なシャツとズボンというラフな格好だ。
それでも外見が良いから見た目は理想的な王子様。
「アスター王子おはようございます。ずいぶん寝坊してしまいましたけど」
「おはよう……まあ、たまにはいいんじゃないか?おまえはいつも頑張りすぎてるからな。息抜きくらいしないと保たないぞ」
「……そうですね」
今日ばかりは彼の言うとおりだから、素直に認めた。



