【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


なにか、ピッツァさんがアスター王子のことで重要なことを言った気もするけれども……。
現役女性騎士から自分がお母様に似てると指摘された事で、やっぱりと納得せざるを得ないから頭の片隅に追いやられた。

わたしはどちらかといえばお父様よりお母様に似てると言われてきたし、自分でもその自覚はある。
お父様はがっしりとした体格でお母様は女性の中でも華奢と言えるほど細め。わたしも鍛えていても、明らかにピッツァさんより細い。

(そうか……だから、頑張ってもなかなか筋肉質にならないんだ)

目からウロコが落ちる思いだった。

「ありがとうございます、ピッツァさん。わたしは女性の中でも筋肉がつきにくい体質だったんですね」
「まあ、そうだろうな。だがな、逆に言えばそんな不利な身体でもずっと男の中で負けずに頑張って来たんだ。その負けん気と根性と努力は誇っていいと思うぜ?」

ピッツァさんが思わぬ言葉で褒めてくれたから、なんだか胸とまぶたの奥が熱くなる。

「あ、ありがとう…ございます、ピッツァさん。もっと頑張らないといけませんね」
「ああ、頑張りな……けど、よ」

ピッツァさんはまた浴槽の縁に身体を預け、空を仰いでこう言った。

「皆に追いつきたい、と焦る気持ちはわかる……だが、ひたすら走り続けたらいつか息切れとエネルギー切れを起こしちまう。きちんと休むことも時には必要だぜ?」