突然、ピッツァさんは大声で笑いわたしの頭にぽんと手を乗せる。
「あははははっ!相変わらず正直だなあ。嫌いじゃないぜ、そういうのは」
女性にしては大きな手でぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜられてしまい、むうっとなって抗議した。
「ちょ、ピッツァさん!やめてくださいよ」
「アハハ、綺麗な銀髪だよな。アタシは赤毛な上にものすごい癖っ毛だからな。あんたみたいなブロンドが羨ましいっちゃ羨ましいんだ」
一通り髪をぐしゃぐしゃにした後、珍しく彼女からそんな言葉が出た。
「え、そうですか?わたしはピッツァさんの燃え盛る炎のような赤い髪は、あなたらしくていつも綺麗だなって思っていますが…ちょ、また!やめてくださいったら」
またピッツァさんが髪をぐしゃぐしゃにするから、さすがにやめてほしくて頭を死守しようと両手を伸ばすと。彼女はにやりと笑う。
「ありがとうよ、ミリィ。あんたはいつもバカ正直だよな。そのくせ、本気でこちらを褒めてくれてるから嬉しくなっちまうぜ。だから、アスターも惚れたんだろ」
「はぁ、そうですか?わたしはいつも思った通りのことしか言いませんけど」
「ああ、わかってるさ。あんたは嘘をついたり余計な美辞麗句は言わない。だから、アスターも信用して従騎士にしたんだ。…ま、筋力に関しては個人差もあるからな。アタシと同じもの食べて同じトレーニングしたとしても、たぶんあんたは同じくらい筋肉はつかない。アタシの家系では遺伝的に筋肉質になりやすいからな。見たところ、あんたは母親に似てる。だから筋力がつきにくいんだろ」



