さすがピッツァさんだ。ソニア妃から聴いてちゃっかり温泉に入りに来たんだ。
「こんにちは、ピッツァさん。もう入ってたんですね」
「ああ、ソニアから聴いてな。戦いの前に英気を養うために来たんだ」
「ドン・コレッツイの件ですね?」
わたしがつぶやくように小さな声で言えば、ピッツァさんは「ああ」と頷く。
「このところまた怪しげな動きをしてやがるからな。ぜってえアタシの手で捕まえてやるさ!」
ググッと手のひらを握りしめた彼女は、そのまま空に向かって勇ましく拳を突き上げた。
「夜の街を健全にして、泣く女がいなくなるようアタシがな!」
メラメラ燃える炎が見えるような熱意と情熱。やっぱりピッツァさんはすごい。彼女は去年もユニコーン密猟事件で自らおとり捜査をしていたし、人一倍正義感があって身体を張る人だ。ソニア妃もピッツァさんも、騎士の先輩としてすごく尊敬できる。
(やっぱりピッツァさんの全身は筋肉がすごいよね…男性並みに鍛え上げてるのに女性らしい身体をしてるから…一体どう鍛えてるんだろう?)
幅広のロングソードであるブラックソードを軽々と扱っていたけど……あれは重さだけで10キロ近くある。ただ持ち上げるだけでも大変なのに、彼女は片手で楽々と振り回しているんだよね。
わたしが黙って彼女の身体を観察していると、なぜかピッツァさんはにやりと笑う。
「なんだ、ミリィ。アタシの身体に興味あるのか?」 「あ、はい。ピッツァさんは女性らしい綺麗な身体なのに、男性並みの筋力があってすごいし羨ましいです」
ついつい、本音がポロッと出てしまった。



