「1年間、男性社会の中で気を張ってこられましたからね」
「それは別に気にはなりませんでしたが……」
「でもやっぱり女の子としては、同じ世代の男の子との違いは気になられてくる頃ではありませんか?」

マイルさんの指摘には驚くしか無かった。
以前、お母様には似たようなことをおっしゃられたことはあったけれども、それ以来誰もそんな話はしてこなかったから。
アスター王子には成長期だとは言われたけど。

「……それは、ありますね。正直な話、どれだけ鍛えても筋肉の付き方や重さや体力が違う……身長も同僚の従騎士の方が高くなっているので……ついつい、追いつこうと焦ってしまいます」

妙なプライドで意地を張っても仕方ない。信頼できる人には自分の弱さは素直に認めるべきだ。

「女騎士でも男性と対等以上になっていらっしゃるソニア妃殿下やピッツァさんを見ると、憧れますしすごいと思いますが……ついつい、自分と比べてしまい足りない部分を痛感してしまうんです。足りないなら努力すればいい…とは思いますが……」

不思議なことに、マイルさんにはすらすらと悩みを話せた。お母様に似たふんわりと暖かな雰囲気の女性だからかな?

すると、突然マイルさんは奇妙なことを言い出しましたよ。

「ミリュエール様、お風呂にまいりましょう」
「えっ!?」
「汗をかかれましたでしょう?ちょうどわたくしもです。実は、このタウンハウスには魔法で沸かした温泉もあるのですよ。ご一緒いたしますから」

にっこり笑った彼女に、ついつい「はい?」と返事をしてしまいました。