「つまり、おまえも休息を取るべきだということだ。自覚は無いかもしれないが、いつもと違うということは体が通常ではないと訴えているということ。体からの警告だ。
特に、おまえはまだ成人前の女性でまだ成長期にある。無理をしすぎて体が壊れてしまえば、騎士どころの話ではない。自分の限界を超えるのは決していい事ばかりではないからな?」

アスター王子の話はまったくの正論で、こちらはぐうの音も出ない。少しだけ悔しいけれども、認めざるを得なかった。

「……そう、ですね……自分では気づかずとも、体がいつもと違うならそうなのでしょう」

自分としては一度走り出したら、走り続けたいと思う。だけど、そのために無意識に体に負担を掛けすぎていたとしたら、自分の体に申し訳ない。

「そうだ。ミリィ、自分の身体をもっと大切にしろ。騎士になりたいと焦る気持ちはわかるが、今日明日でなれるわけではないし、まだ時間はある。まあ、妃教育もいずれ始まるだろうが、今はとにかく身体を休めろ」
「……はい」

こればかりは、アスター王子の提案を認めざるを得なかった。

「ということで、母上。明日から3日間タウンハウスをお借りします」
「いいわよお〜いくらでもお使いなさい」

アスター王子がちゃっかりソニア妃に予約をしていたけれども、ここでツッコミを入れるほど野暮じゃない。

「じゃあ、ぼくは宿舎で過ごしますがアスター王子はタウンハウスでゆっくり休んでください」

これで久しぶりにゆっくり一人で眠れると思ったのに……。
アスター王子の策謀の結果、朝気づいたらソニア妃の
タウンハウスにいた…って…どういうことでしょうか!?