「すみません…それは確かに、否定できませんね……」

事実を捻じ曲げるのは好きじゃない。自分の失態はしっかり認めなくては。

「そうだろう?つまり、おまえも疲れが溜まっているはずだ」
「……それはどうでしょう?」

アスター王子がそう指摘してきても、自分では毎日の睡眠や休憩でしっかり疲れを取っているつもりですが…。

「ミリィ」
「はい?」
「……おまえ、最近体温が高いだろ……ぐっ」
「あ、すみません。手が滑っちゃいましたね?」

笑顔のまま、アスター王子の顔面に肘鉄を食らわせておいた。わたしの日々の体温を把握しているのが気持ち悪いし、それほど頻繁にわたしを抱きしめているのはさらに腹立たしい。

「……おまえな」
「あれ、どうしました?たまたま当たっただけですよ?」

鼻血を出したらしいアスター王子には恨みがましい目で見られましたが、自業自得です。

「……まあ、とにかく。最近おまえの体温が高い……つまり、体が不調を訴えているということだ」
「はぁ……」
「耳をほじりながら聞くな!」
「たしかに、少しだけ熱っぽさはありますが……これくらいは平常ですよ」
「平常というわりに、少しだけ浮腫もあるのは気づいてるのか?まぶたがわずかに腫れてる」
「キモ」
「なんか言ったか?」
「はぁ、また……細かいところに気づきますね」

まぶたのわずかな腫れなんて、鏡でしっかり見ない限り自分でもほとんど気づかないところだ。