「……すまない。確かに、仕事が終わらなくて夜中までかけて片付けてる。単にオレの能力不足だ」
アスター王子は意地を張る事もなく、ずいぶんあっさりと認めてくれましたけど。
「アスター王子、あなたの能力不足って事はありませんでしょう。ぼくは知ってますよ?今、近衛騎士団団長のキンバリー卿が体調不良で、裏方の仕事はすべてあなたにしわ寄せが来ている…と。副団長のお父様もなるべくフォローしていますが、団長代理としてあなたが団長の仕事をかなり肩代わりしてると聞きましたが?」
情報通のフランクスから聴いておいてよかった。
従騎士として一緒に居られる時間は限られているから、アスター王子のすべてを把握できるわけじゃない。
それはなんだか悔しいけど……それよりも今は、アスター王子の体調が心配だった。
魔力の暴走での体調不良からまださほど時が経ってない。きちんと睡眠と食事を摂ることは体作りの基本中の基本だ。いくら多忙でも、それらを疎かにしてはとれる疲れもとれなくなる。
「……そうだ。だが、仕方ない。許可や認可を出すには侯爵以上の印章が必要な書類が多い。副団長のエストアール卿では無理だからな」
アスター王子が申し訳無さそうに言うけど…まだ、身分至上主義の弊害がここにも。
騎士団団長は伝統的に侯爵家以上の家の出身者が就くことになっている。
だから、男爵に過ぎないお父様が副団長どまりなんだ。誰からも団長に相応しいと認められているのに。



