昼食後、ピッツァさんも一緒にアスター王子のいるだろうソニア妃の離宮に向かった。
どんなに多忙でも、アスター王子は1日一度は御母上様へのお見舞いを忘れない。御母上様が15年間ずっと眠っていた時からの習慣をきちんと護っているんだ。
「おーい、ソニア。アスター来てるか?」
ピッツァさんもかつてソニア妃の小姓だったし、眠り病だったときも頻繁にお見舞いに来ていたから、勝手知ったる様子でずかずかと離宮へ入っていく。まあ、彼女に遠慮という文字はないか。
「あらーピッツァちゃんに、ミリィちゃん!アスターなら来てるわよお」
ソニア妃は相変わらずのほほんとした喋り方だけど、これでもゼイレーム一番の魔術師であり、女騎士でもあるんだよね。
「お、アスターいたいた!」
「ピッツァに…ミリィ?2人揃ってどうしたんだ?」
アスター王子は御母上様がソファに座っていたからか、そのすぐそばで立っていた。彼がなるべく座らないようにしているのは、体が鈍らないためといざという時に咄嗟に対処できるように、と聴いたことがある。確かに、どこかに座ってしまえば立ち上がるという動作が必要になり、非常事態の対応に不利になりかねない。それを知って以来、わたしもなるべく真似ている。
「ああ、ミリィがアホに遭遇した」
「……レスター兄上に?」
ピッツァさんがそう言っただけで弟に理解されるレスター王子…もはや王子としての威厳はまったくありませんね。



