「ドン・コレッツイ?」
思わず訊き返したくなるくらい、信じられない大物の名前が出てきた。
コレッツイファミリー……いわゆる裏世界を仕切る闇の組織。ゼイレームでは最大のファミリーで、首都を中心に国土の半数は奴ら関連の勢力で占められているくらいだ。
表向きは善良な市民やお店を演じながら、実際は犯罪に手を染める輩も多い。詐欺や盗みや裏取り引き殺人に売春の仕切りに怪しげな薬に人身売買。……犯罪と名がつくものは何でもやっている。
無論、騎士団や兵団も何度となく壊滅を試みたけど、いつもすんでのところで逃げられる。
ある大貴族の庇護を受けている……という噂もあるくらいだ。
ドン・コレッツイはそのファミリーのボス。
ただ、その姿は一切不明。
なぜかと言うと、変装の名人な上に目撃者は漏れなく殺されるからだ。
暗殺者ばりの殺しのテクニックだけでなく、怪しげな薬品や…時には魔術すら扱い、一瞬で息の根を止める。どんなに遠くで見ても、次の瞬間には死んでる……それならば死人に口なしで喋ることはできない。
「ああ、そのドン・コレッツイだ。アタシですら何度も辛酸を嘗めさせられたんだ…いつか、ぜってえこの手で捕まえてやる!って意気込んでたんだ。アタシもこの話、噛ませてもらうぜ!」
ピッツァさんはにやりと笑い、勢いよく拳を突き上げた。
「ドン・コレッツイはぜってえアタシがパクるぜ!!見てなよ!」
「……ピッツァさん、目立ちすぎてますよ」
「カカカっ!わざとだよ、わざと」



