ピッツァさんが連れてきてくれたのは、近衛騎士団の宿舎近くにある料理屋。まだピーク前だからか、人気はまばらで話をするのに都合がいい。
確かに近衛騎士団の食堂だと誰が聴いてるかわからないし、彼女の心遣いに感謝したい。
「……なるほど」
わたしが一通り話し終えたあと、料理の大皿を抱えたピッツァさんはふむ、と首をかしげた。ちなみに、彼女は一皿3人前はありそうな大皿3つ目を平らげてる。騎士は体が資本とはいえ、食べすぎでは…?
「あのバカ王子のアホっぷりは通常運転だな。アルベルト王子の結婚式の警備計画でも、あのアホをどう人前に出さないか…を責任者が苦心してるらしいからな。アハハハハ!あのアホを晒したら国際的な恥になるのは間違いねえ!」
ピッツァさん、相変わらず豪快な笑い方ですね。
「……とはいえ、“アラザン”か……また、よりによって厄介な店が出てきたな」
5皿目を食べ終えたピッツァさんは、難しい顔をして腕を組んだ。これでもまだ、デザートが残ってるんですよ…。
「そのお店について、なにか心当たりでも?」
「ああ、半年前くらいかな……度々通報があったんだ。“アラザン”に行ってから行方不明になった人がいるだとか、怪しげな取り引きを見ただとか。けど、不意打ちでガサ入れしても、なーんも出ないんだ。むしろクリーン過ぎて怪しすぎるくらいでさ。でも、アタシの勘では絶対なにかやらかしてると思うんだよね」
ギシッと椅子を傾けて足を組んだピッツァさんは、眉を潜めて小声でわたしに教えてくれた。
「……あの店な。ドン・コレッツイの息がかかってるって噂もあるんだ。もし行くつもりなら、アタシも誘いなよ。絶対一人でいくな」



