【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「よ!そんなに急いでどうした?」

赤い髪をまとめて束ね、騎士としては露出が多いラフな格好をした女騎士…ピッツァ・フォン・ライトさんだ。
わたしが所属する近衛騎士団ではなく、首都付近の警護を担当するフェニックス騎士団所属で、アスター王子と同い年の同期。去年の夢の国事件でもお世話になってる。

「ピッツァさん。今日は来月の結婚式の警備について来られたんですか?」
「ああ、いよいよ1ヶ月後だからな。あちこちピリピリしてて、つまらないから王宮に来たんだ。ソニアの様子も見たかったしな」

ピッツァさんはかつてアスター王子の御母上様であるソニア妃の小姓をしていた経験がある。だから、ソニア妃が眠り病で眠っていた15年間ずっと定期的にお見舞いに来ていたらしい。
今も、時折様子を見にこうして来ていた。

(そうだ……まずアスター王子に伝える前に、ピッツァさんに相談してみようか)

彼女は良くも悪くもまっすぐな気性で、裏表が一切ない。陰謀なんて一番無縁な場所にいる信頼できる人だ。
それに、首都を担当するフェニックス騎士団に所属するならば、もしかして件の店……レスター王子がバーガに会ったという怪しげな店……について、なにかわかるかもしれない。

「あの、ピッツァさん。今お時間大丈夫ですか?」
「ん?これから訓練して腹ごしらえするくらいだけど…なんだい?あんたが改まってそう訊くってことは…もしかしてヤバい相談か?」

やっぱり、さすがわたしをよく理解してくれてるピッツァさん。コクリと頷くと、彼女は「よっしゃ!ちっとついてきな!」とクイッと顎で行き先を示した。