【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


(なぜ、ボール公爵がレスター王子にそんなことを?今までアスター王子とは緊密にしてきたはず)

ボール公爵はソフィア公爵令嬢の実家であるセジュール公爵家に次いで力のある大貴族。

当主のドレスデン公は60代の優しそうな白髪のおじいちゃん。公爵と思えないほど腰が低くて、王宮でお会いする度に男爵令嬢のわたしにも声をかけてくださるんだ。ついでにあちこち行ったから、とお土産までくださる。

彼自身高齢で昔の戦乱のあった時代を生き抜いてきたからか平和主義であり、血気盛んな若い貴族を諌め貴族院の重鎮として議会を取りまとめてこられた。
貴族院の議長はセジュール公爵だけど、ボール公爵がいなければまとまらないと言われているくらい影響があるお方だ。

アスター王子とは度々お会いになり、全面的に支持するとの意思を表面されたお言葉通りに色々助力してくださっていたはず。アスター王子の立太子も喜んで支持し協力します…とおっしゃられたのに。

それが、なぜ? レスター王子に“あなたは国王陛下になれます”……なんて。急に掌を返すようなことをおっしゃるのだろう?

(おかしい……ドレスデン公ならば少なくともそのようなことはおっしゃらない)

ボール公爵の当主はドレスデン公だけど……確か、彼には息子が1人いた。40にもなって結婚もせず、ふらふら遊び歩く放蕩息子のバーガが。

(……バーガに関してはよい噂を聞かない。たしか、性根を叩き直すためにドレスデン公が息子を一時従騎士としてお父様に預けたことがあったけど……トラブルメーカーで結局3日も経たず脱走した根性なしだった)