(本当に、一年前とまったく変わらない。少しは成長してくださらないと、国王陛下と王妃様がお気の毒だ。妹のマリア王女にも迷惑がかかるのに……)
先月マリア王女と深く関わり彼女の人となりを知ることができたけれど、まだ9歳にも関わらず利発で聡明。精神年齢なんて目の前にいるバカ王子より遥かに上だった。
「ミリュエール、そんなふうに照れ隠ししなくていいんだよ、愛しのマイハ「照れてもいませんし、恥ずかしがってもいません。と言いますか、ハニー呼びをおやめくださいませんか?あなたにそう呼ばれる覚えはありませんから」
まったく懲りないバカ王子のうわ言にいちいち付き合ってる暇はない。アスター王子ほどではないけれども、わたしもタイトなスケジュールをこなしている。従騎士としての勉強や訓練や他の仕事に加え、自己鍛錬や妃になる勉強。馬上槍試合の特訓だってしなきゃいけない。やらなきゃいけないことは山積みだ。
「レスター殿下、あなたは仮にも王子殿下でいらっしゃいますよね?ならば、なすべき仕事と勉強があるはずです。それを考えたら、この時間はこのような場所にいらっしゃる必要はないはずですが?」
いつまで自由にふらふらしているのか……と、苛立ちが溜まりに溜まって、ついつい余計な事まで口にしてしまっていた。



