「み、ミリィも……最近その……剣の腕が上がったし…以前より体力もついてきたな」
「本当ですか?ありがとうございます!」

まさか…アスター王子にそう言ってもらえるなんて、最高に嬉しい。だから、次にぼそっと言った言葉はろくに耳に入らなかった。

「あと……その……き、綺麗に……なってきた……な」


「ああ、はいはい。結局惚気ねー」

今まで発言がなかったレトムが耳をほじりながらそんなふうに言うから、は?と意味がわからなかった。

「惚気?どこが??わたしは思ったことを率直に言っただけだよ。アスター王子だって」
「ったく…自覚ねえからたちが悪いよなあ。一応、一人モンもいるんですけど。オレとか」
「自覚がない?」

なんの自覚だろう?指摘されて一生懸命考えたけど、さっぱりわからない。
でも、なんだか周囲はほのぼのとした雰囲気で中にはニヤついてる人までいる。なんでだろう?
まあ、レスター王子の事で殺気立つよりはマシか。

「レスターについては、改めて私から注意をしておく。すまぬな」
「いえ、お気になさらず。特に実害はありませんから」

国王陛下から改めて謝罪をされたけれども、どら息子の本人が全面的に悪いだけですから。

「あの愚かな阿呆……ゴホン、兄上についてはオレも思うところがある。こちらから正式に抗議をしておこう」

アスター王子……今、確かにアホって本音がだだ漏れでしたね。まあ、真実なので誰もが咎めませんけれどもね。

「それでもミリィ、おまえに近づくようならオレにも考えがある。だから、姿を見たらすぐオレに言え。わかったか?」
「うーん、いまいち納得はできませんが……わかりました」

アスター王子にプレゼントされたメダリオンにはいろんな魔術があるし大丈夫とは思うけれど、一応頷いてはおく。

その後、様々な話し合いがなされわたしとアスター王子の婚約と婚姻に関する取り決めが何日かを経て正式に決定された。