「そういう問題じゃない」
アスター王子がまだ物騒な雰囲気をまとっているから、小さくため息を着く。こういう時の彼は大抵言いたいことは同じだ。
(めんどくさいなぁ……別に、わたしがレスター王子とどうこうなることは絶対ないのに)
面倒だから、先回りして彼の懸念材料を払拭するために口を開いた。
「アスター王子、あなたは万が一にもわたしがレスター王子とまたどうにかなる、とか考えてます?」
ズバッと核心を突いてみれば、彼は小さく肩を揺らす。……ってことは、当たりだ。
わたしにとってあり得ない事態を彼が少しだけでも想像したならば……。
「アスター王子!それは、わたしにとって侮辱ですよ?わたしは何があってもあなたとともに生きると決めました。どんな困難があっても、2人で乗り越えるつもりでいます。だから、レスター王子となど二度と絶対にありえません。もしもか彼が接触し困った事態になったら、絶対あなたに相談します。だから、その前の段階にすらなってないのだから言わなかっただけで…あなたを信用してなかったわけではありませんよ?だって、わたしが一番信頼できるのはあなたなのですから。人間的にも、男性的にも」
わたしが当たり前のことを話しているだけなのに、なぜかアスター王子は見る間に頬を染めて……そのまま片手で顔を覆ってしまう。なんで?



