「ミリィ、こちらへいらっしゃい」
椅子に座られたお母様に呼ばれたからそれに従うと、ふわりと緩やかに抱きしめられた。
「お母様……?」
「大きくなったわね、ミリィ。15年前はまだ赤ちゃんだったのに……もう、結婚のお話が出る年頃なのね……」
お母様がしみじみと呟かれた言葉には、感慨深い響きがあった。
さすがに15年前のことは憶えて居ないけれど、幼い頃の一番古い記憶は……お母様とお父様の慈しみに満ちたお顔と、お父様の力強い高い高いと……お母様のあたたかな抱擁に……ふんわり包まれた、甘い薫り。
なんだか幼い頃を思い出して涙がにじみそうになるけれど、グッと堪えてお母様のお顔をしっかり見据えた。
「……はい、お母様とお父様のおかげでここまで成長することができました。ありがとうございます」
「いいの。親にとって当たり前のことをしてきただけなのだから……ミリィ、親は時には愚かな事や厳しい事を言ってしまう事もあるけれども……それはすべて、子どもの幸せを願ってのことなの。それを忘れないで」
「はい」
お母様はわたしと同じシルバーブロンドとシルバーの瞳をお持ちで、肌は透き通るような白さ。元々北方の出身だからもあるけれど、それでも妖精のような透明感のある美貌。三十代の今でも少女のような華奢さと儚さを感じる。
でも、なんだか今日はいつもより感傷的でいらっしゃるし……それよりも、香りと顔色が悪い気がした。
「お母様、お体は大丈夫ですか?なんだか顔色がよくありません。無理はなさらずに休まれては」



