従騎士として午前中の修養を終わらせたあとにお父様とお母様が待つ副団長室へ向かうと、懐かしい顔があって思わず顔が綻んだ。
「レトム! 来てくれたんだ。久しぶりだね」
「やぁミリィ、元気そうだな。従騎士になれたって?」
「うん。アスター王子が特別に叙任してくださったんだ。ありがたいよ」
「そうか。あの堅物がねえ……ま、人を見る目は確かだからな」
こうして話が弾むのは、やっぱり兄妹みたいに育ったことがあるから。
レトムが従騎士になる前の数年間、エストアール家で預かっていたことがある。ちょうどわたしが産まれて5つになるくらいまでだったから、きょうだいが居ないわたしには本当の兄のように思えたし、彼も実の妹のように可愛がってくれた。
騎士の中でもとびぬけて身長が高く、一見細く見えても実は筋肉量がすごい。鋼のような引き締まった体をしてるんだ。ボサボサの茶髪で顔立ちも少し平凡だけど、鋭い青い目に見据えられたらきっと足がすくむだろう。
そんな彼が騎士の正式な制服を着てしっかり髪を整えてこの場にいる……となれば。やはり、跡継ぎについてお父様は覚悟を決められたんだろうと思う。
「お父様……レトムが今日呼ばれたということは、エストアール家の跡継ぎについて……ですね?」
「……一応、だ。保険のためにな。特許状の書き換えも必要な案件であるし、国王陛下のお許しも必要である以上、まずはソニア妃殿下へお伺いを立てる必要がある」
お父様の言葉に、申し訳ない気持ちがいっぱいになってしまう。
「お父様……申し訳ありません。自分から家を継ぐと公言しながら……結局、わがままで継ぐことができなくなってしいました」



