(マリア王女がしおらしく反省したって…絶対演技だよね…)
彼女に限って人前で泣くなんて、絶対プライドが許さないはずだ。ブラックドラゴンが王宮を襲撃した際には、侍女を庇って震えてはいても絶対涙は流さなかった。それくらい気骨のあるお方なんだから。
でも……
“マリアを許してあげてくださいね。聡くても、やっぱりまだ子どもなのですもの。でも、フランクスくんのことはきちんと考えいるはずですわ。やっぱり好きな男性(ひと)には嫌われたくないはずですからね”
マリア王女の異母姉であるユリネ王女からのお言葉を思い出すと、あの時のマリア王女は年頃の少女らしく頬を染め、珍しく焦って見えた。
(気まぐれでフランクスを狙った……訳じゃないんたな、きっと)
マリア王女は、本気だ。
本当に、フランクスを好きになったんだろうな。
でなきゃ自分の矜持を曲げてまで、謝ったりしないはず。相手を大切に思うし、よい関係を望むからこそ彼女はフランクスと話をしようとした。
王妃の王女という身分を利用すれば、強引に婚約だってできるのに。
まだ9歳の少女がそこまで相手のことを考えたんだ。もしもフランクスが好意的ならば、この縁談は彼によい影響もある。
「フランクス、マリア殿下も本気できみのことを考えていらっしゃるんだ。だから、ふざけたり誤魔化したりせず、真剣に考えてあげてほしい。もちろん、きみ自身の意思が大切だし、もしも本気で好きな人がいるならば断る際にぼくが口添えするよ」
「うーん…別に、好きなひとはいないな……」
フランクスは驚くほどあっさりと、そう言ってのけた。
「まぁ、人並みに初恋くらいはしてきたつもりだけど、あとは剣の腕を磨くくらいしか頭になかったからな。逆に、マリア殿下がどうして俺を…って疑問ばっかりだよ」



