「はあっ!」
相手が来たついでに、模造剣に持ち替えて打ち合いもした。
フランクスの打ち込みを剣で受けると、1年前より重さが増した衝撃が来る。当たり前だ。彼は成長期の男の子。もうすぐ15歳になり、背丈も筋肉量も段違いに大きくなった。
(でも、わたしだってこの1年ただやみくもに訓練してきたわけじゃない!)
鍔迫り合いに持ち込まれるとどうしても力負けして弱いけれども、それを補う手段はいくらでもあるんだ。
半歩、足を横に運び剣をそのまま上に流す。
「あぶねっ!」
模造剣の切っ先が喉に当たりそうになった瞬間、フランクスが狙い通りに半歩後ろに下がったから、そのまま横に構えて素早く胴を狙う。けれども、気づかれたかぎりぎり剣で防がれた。悔しいけど、やっぱり剣技はフランクスのほうが上だ。
「あちゃー…やっぱりわかっちゃったか」
「そりゃな。いつもおまえの相手してるからな……そろそろ終わるか、ほれ」
「ありがとう」
フランクスがタオルと飲み物を差し入れしてくれたから、遠慮なく受け取ってひと休み。今度はわたしが持ってこないとな。
さすがに1時間の打ち合いは、心地よい疲労感をくれる。もうすぐ5月の訓練場はほどよい暖かさで、一番いい季節だった。
しばらく静かに休んでいたけど、唐突にフランクスが口を開いた。
「ミリィ」
「ん?」
「……マリア殿下が俺のとこに来て、泣きながら謝ってきたよ。なんか、おまえが忠告してくれてゴリ押しで縁談を進めようとしたことを反省したって……ありがとうな」



