【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「ミリュエールさん、もしや房事(ぼうじ)のお作法は習われてなかったのかしら?」
「房事……ですか?いえ、お恥ずかしい話ですが……まったく。言葉の意味もわかりません……」

ユリネ王女の口から聞き慣れない言葉が出たけれど、知らない事だから素直に認めた。変なプライドで意地を張ったって仕方ない。ユリネ王女殿下はわたしと同い年であられるし、深窓のお姫様ではあるけれど、女性としてわたしよりもずっと色んな知識をお持ちだ。

だから、彼女達から教わり学ばなくては!と気合いを入れる。騎士の勉強と同じだ。

「……そう、レスターお兄様の婚約者時代には学ばなかったのね。やはり、王妃様はそこまでお兄様が本気でミリュエールさんを愛されてなかった事を見抜いてらしたのね」
「そうであろうな。レスター兄上は気まぐれすぎるわがまま王子じゃからのー。母上も見限りつつあるし、婚約者も決まらぬし、お先真っ暗じゃの!」

ユリネ王女の発言は失礼かもしれないけど、的を射ている。加えて、実の同母妹のマリア王女にまで散々な言われようだ……事実だからたしなめる気も起きないけど。

「ミリィは、女の子のお友達はいなかったのかしら?」

ソフィア様から遠慮がちに訊ねられましたけれど……はて?なぜ、そんな事を訊かれるのだろう?

「うーん……正直な話、同世代の同性の仲のいい友達はいませんでしたね。赤子の頃から武芸大好きでしたから、物心がつく頃には木剣を振るって野山を駆けて騎士の真似事をしてましたから。どちらかと言えば、お父様の世代の騎士や兵士とばかり仲良くしてましたね。同世代の女の子達と同席しても、話がつまらなくてあくびばかりしてました」

わたしの話に、やっぱり……という空気が流れた。なぜ?