【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「は?ねや……ですか?」

思わず訊き返すと、マリア王女が呆れ顔でまた余計な事を言い出す。

「なんじゃ、ミリュエール。結婚が決まっておるのに閨も知らぬのか?」
「いえ、言葉としては知っています」

一応貴族令嬢の端くれだし、レスター王子の婚約者時代にひと通りのお妃教育は受けた。だから、言葉の意味はわかる。わかるけれど……。

「閨って、夫婦の寝室のことですよね?ただ眠るだけの場所で、なにか問題でもあるんですか?インテリアとかでしょうか?」

わたしが真顔で知っている事を話せば、なぜかマリア王女があんぐりと口を開けてるし、ソフィア様はティーカップを持ったままフリーズ。ユリネ王女はあらあら、と微笑んだまま困り顔を作られた…なぜ?

「ミリュエール……もしやそなた、夫婦が夜の寝室でなにをするか知らぬのか?」

マリア王女が肩を震わせながら問いかけてきますけれど……はて?なんのことだろう??

夫婦が寝室ですること……?しかも、夜限定?

「え、眠ること以外は何をするんですか?」
「あるに決まっておろう!結婚すれば当然あるべき、すべき事じゃ!」

マリア王女にそう言われて、うーん、と一生懸命考えてみた。
(だめだ……さっぱりわからない)

「えーっと、お喋りとかですか?一生ともにいるなら、相互理解は大切ですからね」
「違う!互いに熱くなるものじゃ」
「なら、カードゲームとかでしょうか?勝負で熱くなる……」
「……なぜ、そうなる?」

しまいには、可哀想な子を見るような目で見られてしまいました……なぜ?