「大丈夫ですわ、ユリネ殿下。ミリィはそんな程度で怒るような器の狭さはありませんもの」
わたしを擁護してくださったのは、右隣に座ってらっしゃるソフィア公爵令嬢。
この中では一番年上の19歳で、6月にアルベルト殿下とご結婚される。
つややかな青色髪を婚約者のいる淑女らしくきっちり結い上げ、少しきつそうだけどとても美しく肌も透き通るように白い。
淡いブルーのドレスは控えめな装飾ではあるけれども、ひと目で質がいいとわかるシルクだ。
彼女はレスター王子と幼なじみで3つの頃に婚約したけれど、3年前にレスター王子がわたし…ミリュエールを愛するから、と一方的に婚約破棄された。なのに、彼女はわたしを許して謝罪をすんなり受け入れてくださったんだ。
去年の8月にあった国王陛下の狩猟会でわたしが彼女を助けた事をきっかけに、彼女とは交流が続きたまにプライベートでお会いしてる。
ありがたいことに、親友とまでは言えないけれど……同性としては、初めての友達かな…?と勝手に思っていたけれど。こうしてわたしの事を理解してくださってるのは素直に嬉しかった。
「そうねえ。ミリュエールさんの評判を聴くに、余計なお世話だったみたいねえ…ごめんなさいね、ミリュエールさん」
「いえ、まったく気にしていませんから」
ユリネ王女はよくも悪くも、箱入りのお嬢様。そこらの深窓の令嬢よりも。
「でも、アスター兄上と結婚なさるんでしょう?わたくしは全面的に賛成するけれど……大丈夫かしら?閨(ねや)のこととか」
だから、天然すぎて時折とんでもない爆弾発言が飛び出す。



