「マリア殿下、わたしは、フランクスの親友として申し上げたいのです。彼の将来を一方的に決めてほしくはありません。やはり、きちんと彼と話し合ってください。王家や王宮からの圧力なしに素直な気持ちを聞いて、それで彼が納得し受け入れるならばわたしは祝福します。ですが、フランクスが少しでも渋ったり躊躇うようならば、わたしは反対したいと思います」
わたしはマリア王女をまっすぐに見据えて、自分の意見をきちんと伝えた。
「もしも、わたしの発言がご不満ならば、わたしはいかようにも処分を受けます」
そう言って軽く頭を下げると、マリア王女から軽く吐息が聞こえた?
「……まったくじゃ、不躾もいいところじゃな。このような私的な場とはいえ、第三者がおる場じゃぞ?」
「申し訳ございません。ですが……」
「ああ、よい。そなたの言いたいことはわかっておる」
マリア王女はわたしの言葉を遮ると、ドサッと椅子に腰掛けた。
「確かにわらわは、フランクスの義実家であるルド家に多額の資金を提供した。あちらの経済状況が芳しくないのは知っておったからな。否やと言わせぬ状況に追い詰めて、むりやりモノにしようとした」
むりやりモノにって…なんだかすごい言い方だけれど……マリア王女があっさり素直に認めたことは意外でもなく、やはり彼女は兄のレスター王子と違い頭の回転が早く状況判断が上手い。
今、ここで意地を張っては義姉となるソフィア公爵令嬢や将来他国の王妃となるユリネ王女の心象が悪くなると考えたんだろう。さすがだ。



