「さっきのお返しなのだが…」
特大に頬を腫らしたアスター王子が不満そうに言いますけどね…。何やら都合よく勘違いしてませんか?
「ぼくは抱きしめてなんていません!」
「積極的に胸に抱きついてきたじゃないか」
「あれは、あなたを止めるためでやむなくです!!」
「それにしてはあちこち触ってなかったか?」
「あなたじゃあるまいし、そんな変態なことはしませんよ!…というか、裸で歩き回る人の方が変態ですよ」
「誰が変態だ!」
アスター王子がなにか怒ってるけど、わたしはわざとらしい笑みで彼に言って差し上げました。
「あれ?ぼくは別にあなたって言ってませんけど。心当たりでもあるんですか?」
「ぐっ……」
「今夜からベッドではちゃんと服を着てくださいね。でないと投げ飛ばしますよ?」
「やっぱりオレのことじゃないか!」
わたしたちのやり取りを、周囲が生暖かい目で見てる…いつも通りに。
毎度お騒がせしてすみません…。
でも、それよりも気になることをアスター王子に訊いてみた。
「アスター王子、さっきいらしたのはローズ・フォン・バーベイン候爵令嬢です。彼女から、あなたが将来国王陛下になるからぼくは婚約者やら妃に相応しくないって牽制されましたが……」



