「2人の気持ちは、よくわかった。では、6月にあるアルベルトとソフィア公爵令嬢の婚姻の儀式でおまえ達の婚約の儀も行うとしようか」
国王陛下がにこやかな顔でおっしゃられたけど、なぜかそこへアスター王子が目を細めながら父親を呆れたように見遣る。
「父上……やはり、あのプログラムは最初からそのつもりでいらっしゃいましたね?」
「おや、何のことかな?」
「おとぼけにならないでください。私とミリィの2人だけで動くイベントがしっかりと計画表に組み込まれていましたよね?警備計画にもきちんと記載があり、各騎士団や警備兵の割り当てまでされているではないですか」
アスター王子の発言から察するに、どうやらアルベルト殿下とソフィア様の婚姻の儀式でわたしとアスター王子に何か役割があらかじめ組み込まれていたようですが…?
「不躾に申し訳ありません。ですが、アスター王子。一体なんの話ですか?アルベルト殿下のご結婚では、わたしは従騎士として警備や馬上槍試合に参加するのでは?」
わたしの言葉を聞いたアスター王子は、小さく息を吐いて首を横に振り呟いた。
「ミリィ……オレたちも当日婚約披露の儀をやらねばならないらしい」
「えっ!?そうなんですか??」
今の今まで聞かされていなかったから、驚き過ぎて思わずアスター王子に聞き返した。
「ああ。オレとおまえだけが参加するプログラムは最初から組み込まれていたんだ……警備計画も。父上は最初からそのおつもりでいらしたらしい……」
「なら、きちんと話してくださいよ!」
また後出しで情報をもたらされ、いい加減頭にきてアスター王子に詰め寄る。
「また、ぼくに隠し事ですか!?当事者なんですから、わかった時点でぼくにもきちんと話してくださいよ!それで一緒に話したり悩んだりすればいいじゃないですか」



