わたしが懸念材料をアスター王子に出すと、彼は否定するけれども。
「ブラックドラゴンの前で裸にならなくてよかったですね」
「誰が、あんな場所で裸になる?そこまで変態じゃない!」
「変態の自覚があるだけマシになりましたね」
「だから、違う!説明しただろう。寝床で服を着ないのは身体が熱くなるからだと」
「だからって、ぼくに抱きついて身体を密着させないでくださいよ!相変わらず武器を押し付けてきますし。訓練にしたって、ベッドの中でもはやめてください」
「あれは武器ではない、と説明しただろう?」
「じゃあ、なんですか!?今、きちんと説明してくださいよ」
「ぐっ……そ、それはだな」
「……なんで顔を赤くして視線をそらしてるんです?やっぱり説明できない疚しいことがあるんですね?」
「ち、違う!……た、ただ……やむにやまれぬ男の生理的な事情で……」
「男だから…?よくわかりませんが、はっきりと具体的に説明していただけます?」
わたしがそう問い詰めれば、アスター王子はさらに顔が赤くなって挙動不審になる。絶対、あやしい。あやしすぎる。
「ミリュエール、そこまでにしてもらえるかね?」
微苦笑された陛下にそうおっしゃられ、いつも通りに会話してしまったことが少しだけ恥ずかしくなる。
「申し訳ございませんでした、陛下。アスター王子の変態をお知らせしてしまいまして…」
「……謝るとこはそこか?」
誰かがなにか不満げに言うけど、取り合う必要はないからスルーしておいた。



