深くため息をつかれた国王陛下は、その重いお立場ゆえに息子のアスター王子へ十分なフォローを出来なかった事を悔やんでらっしゃる。
でも、わたしからすればその悔恨の情だけでも、アスター王子への愛情を感じられるのだけれども。
通常、貴族……ましてや王族は普段から親子別々に暮らす事が珍しくない。乳母や教育係を付けて、他人が育てるのが当たり前だ。
でも、国王陛下は御子が生まれれば赤ちゃんの頃からそれぞれ時間を割いてなるべくご一緒に過ごされるようにされていたと聞く。
時には、御手ずから御子のお世話をされたとか。
高位貴族ほど、子どもとは直接関わらないというのに。
「陛下、御無礼をお許しください」
「ミリュエール、なんだ?」
発言の許可を頂いたので、思わず言わずにはいられなかった。
「差し出がましく、申し訳ございません。ですが、わたくしは陛下の深い情が心に沁み入っております。もし、陛下のそれがなければ、アスター殿下はもっとひねくれた方になられていたでしょう。陛下の愛情があったからこそ、変態程度で済んでいるのです」
わたしの発言に、若干1名が不満げな声を上げた。
「……おい、ミリィ。誰が変態だ、誰が!?」
「あなた以外はこの場にいませんけど?裸で疾走するようなお方は」
「あ、あれは……おまえが窓からオレをぶん投げたからだろう!」
「そもそもとして、あなたがぼくを裸にひん剥いて裸のまま抱きついて寝たからですよね?そうじゃなきゃ、ぼくだってそんなことしませんでしたけれども?」
わたしたちがいつも通りぎゃんぎゃんやり合っていると、いつの間にか周囲から生暖かい目が向けられていた…なぜ?



