そして今まであった憤りも含めて、いつも通りにアスター王子を問い詰めてしまう。
「アスター王子!」
「はい!」
「なぜ、きちんとぼくに間諜のことや旧き森でのことを教えてくださらなかったのですか?そんなにぼくは信用ならないのですか!?」
悔しいというより、悲しい気持ちが大きい。自分がまだ未熟だということはわかってはいるけれど、ほんの少しでも相談してくださっていたら……と思わずにはいられない。
「ミリィ、違う!信用するとかしないの問題ではなかったんだ。あくまで首脳部の国家機密に該当する情報であり、もし万が一知れば敵に知られた際に苛烈な処遇を受ける可能性があるからだ」
アスター王子は焦ったように言い訳を並べる。おっしゃることはわかる……わたしも自身がわがままを言っている自覚はあるから、小さく息を吐いて気分を落ち着けてから口を開いた。
「……すみません、わがままを申し上げました。まだ見習いにすぎないぼくが、機密情報を扱うには過ぎたことですよね……ですが!」
わたしがアスター王子をキッと睨みつけると、彼はこころなしか体を揺らした。
「旧き森で、ぼくがブラックドラゴンと話してる時に盗み聞きしてましたよね?別に疚しい内容ではありませんけれど……ぼくにだってプライバシーがありますよ?さあ、どこまで聞いたかキリキリ吐いてくださいね?」
にっこり笑ってそう問い詰めれば、アスター王子の顔色が青どころか土気色になった。



