そんなわたしの心を見透かしたように、国王陛下はわたしへご下問を発された。
「ミリュエールよ」
「はい」
「アスターが国王となれば、妃は王妃となる。そなたにその覚悟はあるのか?」
王妃……女性としての最高の地位であり、望んでも得られないもの。
ただの妃は公務はしても、政治的な力はない。
けれども、王妃となれば政治的な重みも増す。否応なく、権力を持つことになる。
もしわたしがアスター王子とともに居たいと望むならば、いずれ王太子妃に。そして王の妃になる。
王妃となるかはわからないけれど、妃がわたし一人ならば王妃の地位に就くことになるだろう。
そんな重責に耐えられるか?と問われたら……
正直な話、自信はない。
けれども、やってみないうちから無理だと言いたくはない。
自分なりに頑張って、無理ならば努力をすればいいし、どうしてもだめなら恥を捨てて周囲の人に協力を求めればいい。
騎士になる事と同じだ。
騎士になる道だって、女というだけでほとんど絶望的だったけれども…信じて努力し続けたら、なんとか道が拓かれた。
だから、わたしはあきらめない。
壁が高いからと最初からあきらめるようなら、所詮それは本気でなかったということ。
本当に心から願うというならば、自分なりに努力して頑張ってみる。そして、時には周りの人に助けてもらい、こちらも助けながら協力し合えば…夢はかなうかもしれない。
迷いなど、ない。わたしの答えは最初から決まっていた。
「わたくしでよろしければ、重責をお受けいたします。自分自身に相応しい相応しくないと考えるよりも、最初から無理と諦めたくはありません。足りぬ部分があれば最大の努力はいたします」



