【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


けれど、セイラ様もやはり母としては息子を次期国王にしたいとお思いだ。

現在の国王陛下には3人のお妃様がいて、御子は王子が3人、王女2人の計5人。その中で大国の王家の血を受けるレスター王子は、第2王子とはいえ血筋としては一番相応しいと言える。
第1王子アルベルト王子は平民出身の第3妃の御子で、すでにソフィア公爵令嬢との婚姻と臣籍降下が決まっている。
第3王子のアスター王子は他国出身の現役騎士の第2妃の御子で、自身も現役騎士。
第1王女ユリネ様は第3妃の御子で、すでに他国との縁組が成立しあと1年すれば輿入れされる。
第2王女マリア様は一番幼いけれど、国王陛下がおっしゃられたようにフランクスと婚約し、いずれ臣籍降嫁されるだろう。

だから、次期王太子は以前からレスター王子かアスター王子かの2択であり、古くからの大貴族や保守派はレスター王子を。新興貴族や中堅以下の貴族はアスター王子を支持していて、貴族の中でも完全に割れていたんだ。

実は、王太子の決定は国内だけの問題じゃない。
レスター王子が王妃出身であるプスムラムの意向を受けるように、アスター王子も御母上様のソニア妃の出身であるノプット王国の思惑もあるんだ。
ソニア妃自身は王族ではないけど、その遠縁にあたるかなりいい家柄の出身。
(ちなみに、余談だけどわたしのお母様もノプット出身だ)

周辺国との関係性も考慮に入れて決定せねばならないから難しく、国王陛下も長年熟慮期間を設けていらっしゃったのだろう。

それが、内々にとはいえアスター王子を王太子に定められたと公表されたんだ。これは、かなり大きな出来事なんだ、と身が引き締まる思いだった。