【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「え、おれですか!?」
「フランクス!」

思わずそう返したのはアスター王子ではなく、カインさんの後ろに控えていたフランクスだった。
もちろん、許されての発言ではないからカインさんもすぐ注意したけど、国王陛下は咎めるでなくむしろ楽しげに彼を見遣った。

「よい。いずれ娘婿となる者だ。マリアの婚約者として、王族に準ずる待遇を与えよう」
「も、もったいないお言葉ありがとうございます…ですが、なぜおれなのですか?マリア殿下にはもっと相応しい方がいらっしゃるのでは?」

今までフランクスは国王陛下と直にお話した事はほとんどないけど、それでも自分自身の将来に関わる事だからか、勇気を振り絞り国王陛下へ発言していた。

そうだ。その点はわたしも気になっていた。
確かにフランクスはマリア王女の近衛騎士見習いであり、普段から接点があったとはいえ急にそんな話になるのが不思議だ。
ブラックドラゴンの襲撃前にマリア王女と恋愛話(?)をしたけど、あのときの様子では彼女がフランクスを意識していたとは思えないけど。

「絶壁でそなたがマリアを護ったろう?あの時メダリオンを贈られたはずだが」
「あ……これ、ですか?」

フランクスはきょとんとして首に下げた金の鎖を出し、その先にあるマリア王女の肖像画のあるメダリオンを手にして見せた。それを見て、あちゃー!と思う。

(フランクス……君もかい。意味を知らないまま受けとってそのまま婚約一直線……そのあたりの無知さを利用するところまで、さすが異母でもアスター王子と兄妹ですよね……)

チーン、と遠くでベルが鳴った気がした。