【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


お父様と国王陛下は十ほど年齢が離れているけど、武人として切磋琢磨しあい、陛下が即位されるまで良きライバルであったみたいだ。

だからこそお父様は私情を混じえる事をよしとせず、熱望された国王陛下の近衛騎士は辞退し、あえて二番手の王族の近衛騎士となられた。

国王陛下の近衛騎士となれば、現状騎士のなかのトップであり、エリートとも言える憧れの存在。最高の栄誉であり、出世とも言えるのに…お父様は他の騎士…自分の部下が有能だから、とそれを譲られた。その騎士は平民からの登用で初の近衛騎士となり、一時大きな話題となった。

実力主義の実直なお父様らしい行動に、娘のわたしは誇らしく思う。そんなお父様に恥じない騎士となりたい。

「国王陛下、重ね重ねの身に余る温情をありがとうございます。わたしは騎士を諦めるつもりはありません。エストアール家の騎士として、誠心誠意お仕えいたします」
「……やはりそうか。ミリュエールよ、そなたは騎士を辞めるつもりはないのだな?」
「はい」
「そうか…」

迷いなく答えると、国王陛下はため息をつきそうなお顔をなされ申し訳なく思うけど。これだけは譲れなかった。
でも、もうひとつハッキリさせたくて無礼を承知で陛下へ発言の許可を頂いてこう告げた。

「ですが、陛下。わたしはアスター殿下の婚約者をやめるつもりもありません。殿下が婚約を破棄なさるならば従いますが、騎士も婚約者も許されるならば続けます」