『どうやら、そなたの答えが出たようだな』
わたしの顔を見たブラックドラゴンは、何もかも悟ったのかにやりと笑う。本当に、人間くさいドラゴンだ。
「はい!」
ブラックドラゴンの美しい黄金の瞳をまっすぐ見たわたしは、勢いよく返事をした。迷いなどしない。自分自身の気持ちが理解できて、すっきりとした気分だった。
『ならば、私はそなたのいるこの国を護ろう。古よりの、龍の血の盟約として。そなたが相応しき龍騎士とならんことを』
ブラックドラゴンが何事か不可思議な言葉をつぶやくと、頭頂に生えた角が光り輝く。そしてそれを自らの手で折ると、わたしへ向かって差し出した。
『ミリュエールよ、私は常にそなたのそばには居られぬ。この剣がそなたとともにあり、そなたを護ろう』
「……えっ!?」
ブラックドラゴンが差し出したのは、黒色に輝く見事な拵えのショートソード。それほど幅広くはなく、見た目は重くなさそうだ。
でも、それは龍の角を使って造られた剣……。
聞いたことがある。
その武器を持つことは、龍に認められた証。
誇り高き龍に認められし龍騎士しか持てぬ武具なのだと。
「これは……今のわたしに相応しいものでは」
『そなたのこころはとうに騎士であろう?足りぬというなれば、相応しき者へなればよい』
確かに、理屈の上ではそうだけど……。
迷っているわたしに、背後から意外な声が聞こえてきた。
「ならば、私はそれに相応しい国をつくろう」



