ブラックドラゴンにそこまでハッキリと問われるとは思わなかった。
わたしからすればまだ自分の望みを自覚したばかりで、自分が王妃にだとかは想像をしたことすらない。
けれど……。
何度も深呼吸をして、考える。
心を落ち着けて、雑念を払い頭をクリアに。
確かにブラックドラゴンの言うとおりに、アスター王子とともに在りたいと望むならば、婚約者として……いずれは妃になるのが一番だろう。
アスター王子が国王陛下となるのは、現状ほぼ既定路線と思える。ならば、正妃は王妃の地位に就く。
彼の正式な婚約者はわたしだから、そのままならばわたしが王妃になるということ。
(それでも、わたしはアスター王子とともにいたいの?)
自分自身に問いかけてみる。
嘘や誤魔化しは認めない、自分の素直な気持ちを。
王妃となれば、騎士にはなれない。
ソニア妃殿下はあえて騎士としてあるため、正妃の座を固辞したから第2妃だと聞いた。
国王陛下になれば、妃が一人というわけにもいかない。必ず他の女性が嫁いでくるだろう。
それでも、いいのか?
きちんと自分自身の心と向き合ってみた。



