【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


結局政権内部からクーデターが起きて、傍系であった血筋から新たな王が立ち、妃と王は討たれた。
周囲の国との交戦は早々に停戦に動き、交渉によりゼイレームはかなりの領土を失ったけど。なんとか諸国に分割統治されることは防げた。
その時王位にあったブルーレ国王陛下の手腕があったからこそ、だった。
でなければ、ゼイレームは永久に地図上から消えていただろう。

エストアール家は彼に一途に仕えて、クーデターの真の立役者とも称賛された。そのことはわたしも誇りだ。

ただ、平民を妃に迎えた結果国が乱れた。
その苦い経験から、ゼイレームでは王位継承権のある王子や王の妃は侯爵以上の家の令嬢がなる事が慣例とされたんだ。

『男がまともでも、女が愚かなれば国は乱れる。逆もしかり。女がまともでも、男が愚かならば国は乱れる』

ブラックドラゴンの言いたいことはわかる。アスター王子が王になるならば、その妃は彼に相応しい実力者がなるべきだ、と。
けれども、彼は意外な問いかけをしてきた。

『ミリュエールよ、あの王子とともにあるならば、その覚悟はあるのであろうな?そなたの心が定まったならば迷うておる時間はあるまい?』