ただ、アスター王子がわたしを婚約者にした理由が、未だにハッキリとはわからない。
わたしの中では令嬢避けだとか、婚約破棄しやすい相手だという理解ではあるけれど。彼の口から直接聞いてはいないのだから、ここは確認した方がいいかもしれない。
自分ひとりの頭であれこれ考えていたって、大抵ろくな結果にならないのだから。
わたしの望みを口に出してしまえば、きっと何かが変わってしまうだろう。
ただ、ハッキリさせたければ自分の意思はきちんと伝えるべきだ。
もしもアスター王子に身分の低い最愛の人がいてわたしとの婚約をその隠れ蓑にするつもりなら、笑顔で殴るかもしれないけど…協力はする…たぶん。
ただの令嬢避け目的と言うならば、このまま彼が嫌になるまで付き合うかその場で婚約破棄するか。
わたしも男爵家を継ぐならばいずれ婿を取らねばならないし、さすがにあと10年婚約者のふりをしろと言うならばきっぱりとお断り申し上げるしかない。
この婚約の行方は、もっと早くにハッキリさせるべきだった。わたしもあと数ヶ月後には16歳になり婚姻が可能になる。15歳の誕生日に婚約してから1年……普通ならその日に結婚式を挙げるのがセオリーだけど。そういった話は一切ないから、やっぱりアスター王子が本気でないと思うのだけど。
ただ、御母上様のソニア妃殿下が、話し合いのためはにわたしの両親を宮殿に招待する…とおっしゃっておられたような。



