【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


『愚かにも人間の愚策にはまり、呪縛の呪いを受けてしまったが…そなたの真摯な言葉が、私を取り戻すきっかけになった』
「いえ……わたしなど、なにも出来なかった……ただ必死で……自分の力であなたを解放して差し上げることもできませんでした。己の未熟さが恥ずかしいです」
『……ふむ』

ブラックドラゴンは数度翼をはためかせ、穴の斜面にいるわたしの手前に飛んできた。その理智的で落ち着いた瞳は、本来あるべき黄金色だ。
これで、ブラックドラゴンは大丈夫だろう。その点は安堵できた。

『ミリュエールよ、年若きそなたがそう悩むは無理はない……だが、あやつの言うとおりに人の子である限り限界というものはある』
「あやつ…?」
『私を解放した、大いなる存在(もの)人からはネスピと呼ばれし神獣』

ブラックドラゴンの物言いは、知り合いの事を言っているようで……人間くささになんだか可笑しくなって、少し笑ってしまった。

『……笑われるのは解せぬが……ミリュエールよ、私は王宮に戻ろう。そして、私に呪いをかけた愚者の真意や真実を漏れなく話そう。これで許されるとは思わぬが、私は私として誇りを失わぬために、この王国を護る努力をしよう』