どれだけ努力しても、簡単には埋まらない男女差。
同僚のフランクスやトムソンならあっさりこなせる訓練も、わたしは倍以上努力しなくては追いつけない事が増えてきた。
元々幼年期から活発に動き回り、3歳くらいからは見様見真似で訓練をしてきた。6歳からは領地の兵士や騎士より本格的な訓練を受けた。
そして、騎士見習いとして王宮へやって来て、ままならない現実を知った。騎士見習いとして王宮へ来るために、お父様を説得する練習試合前に言われたお母様の言葉が身に沁みる。
“ミリィ……なぜ?あなたは女の子なのよ?まだ子どもだから今までは好きにさせてきたけれども……これから花嫁修業をしなくてはならないわ。そんな大切な時期に武芸なんて……第一、いくら鍛えてもそろそろ男の人には勝てなくなってくるわ。ケガだってするし、最悪……命の危険だって……”
お父様だってこうおっしゃられた。
“そうだ、ミリィ。マリアンヌの言うとおりに、騎士の世界は厳しい。甘ったるい憧れだけで続くものではないぞ“
自分だとて、簡単にはいかないという覚悟はあった。
たとえ血を吐いても絶対諦めない!と石にかじりついてでも、騎士になる目標を達成しようと。
今だってその固い決意は揺らぎはしない。
でも、いざこうして非常事態に遭遇してしまえば、己がどれだけ非力で無知なのかが思い知らされてしまう。
皆の、……アスター王子の役に立ちたいのに。



